『フロー体験入門』~好きを仕事にではなく、仕事を好きに~
今回は、M.チクセントミハイの『フロー体験入門』を参考に
日常にフロー体験を取り入れる方法をご紹介したいと思います。
フロー体験とは
フロー体験とはそのことだけに集中している状態のことです。
プロのアスリートが「ゾーンに入った」というのを聞いたことがありませんか?
ゾーンに入ったときには、観客の声援も存在も意識の外になるそうです。
プロ野球選手の長嶋茂雄選手は「ボールが止まっているように見えた」といったことがありました。これは今でいうフローの状態だったのではないかと言われています。
フローはトップアスリートのような特別な存在しか体験できないと思われていますが、そのようなことはありません。
条件を満たせば、仕事にも家事にも車の運転にだって取り入れることが出来ます。
では、どのようにすればフローを体験できるのかを見ていきましょう。
フローを体験するには
フロー体験には下記の3つの条件があります。
1,明確な目標
2,即時のフィードバック
3,適切な難しさ
それぞれの条件に関して
・なぜこの条件なのか
・仕事で取り入れるなら、どのようなことが出来るのか
この二つを見ていきましょう。
1,明確な目標
人は目標が無いと集中力を保つことは出来ません。
「500m走ってください」と言われれば、ゴールがあるため
最後まで全力で走りぬくことが出来ます。
しかし、「私がOKというまで走ってください」と言われると
ゴールがわからないため、集中力を保つことは非常に難しくなります。
これを仕事に適応するなら、下記のようなことが出来ます
・目標を設定する
・それを数字などに落とし込み、明確なものにする
・それを達成するために必要なことを書き出す
目標が明確になることで、「この仕事は何のためにしているんだろう」という疑問や
「次は何を目標に頑張ればよいんだろう」という不安がなくなり
目の前のことに集中出来るようになります。
目標の立て方がわからなければ、上司や同僚に相談することがおすすめです。
人と相談することで、自分の視野からは見えていなかった新たな目標が見つかるかもしれません。
2,即時のフィードバック
人は、自分のしていることが合っているのか、間違っているのか不安に思います。
完成形を提出してから、これは始めのところが間違っていると言われ、やり直しになるとすごくショックですよね。
そのため、フィードバックは速く貰った方が効果的です。
これを仕事に適応するなら、下記のようなことが出来ます
・上司に定期的にフィードバックを貰うよう頼む
・どのようにすればもっと貢献できるか尋ねてみる
・進捗状況をこまめに報告する
フィードバックを貰うようになれば、
自分の課題や求められているものが明確になります。
さらに上司からは仕事を改善しようとする、やる気ある部下に見えるという副次的な効果もあるので、評価アップにもつながります。
仕事を楽しもうとすることで、仕事の成功にもつながるのは非常に良いことですね。
3,目標の妥当性
自分にとって簡単過ぎることには、集中出来ません。
なぜなら、集中しなくても出来てしまうからです。
反対に、自分にとって難しすぎることにも、集中出来ません。
なぜなら、不安やストレスが集中を上回ってしまうためです。
これを仕事に適応するなら、下記のようなことが出来ます。
・仕事に取り組む前に、この仕事は本当に自分がすべきかを考える
・簡単すぎる仕事であれば、他の人に任せる
・難しすぎると思う仕事であれば、同僚と協力するなどして難易度を下げる
仕事の難しさを調整することで、高い集中力を維持することが出来ます。
簡単過ぎる仕事をしているときのような、無駄な仕事をしている感覚もありません。
難し過ぎる仕事をしているときの、無力感も感じません。
丁度よいストレスと集中度の中で取り組むことが出来ます。
自己目的的活動(Autotelic)を目指そう
自己目的的活動とは、それを体験すること自体が目的であるがゆえに、それ自体として行う活動です。
簡単に言うと、それをやる理由はなく、ただやりたいからやっている行動のことです。
多くの人にとってのゲームやスポーツが当てはまります。
サッカーが好きでしている人に対して「なぜサッカーをしているんですか?」と聞いても「楽しいから」や「やりたいからやっている」という答えしかありませんよね。
これが自己目的的活動です。
しかしながら、仕事となるとお金を稼ぐためや、周りからよく見られるためというような他の目的が出てきてしまいます。
最近はやりたいことを仕事にしようという言葉をよく聞きますが、苦労して入社した会社を辞めるのも、今の地位を捨てるのもそう簡単なことではないと思います。
それなら、今の仕事をやりたいことにしようの方が現実的に取り組めるのではないでしょうか。今の仕事を自己目的的活動になるように工夫してみようというのが私の考えです。
まとめ
フロー体験のための3条件
1,明確な目標を持つ
2,即時のフィードバックを貰う
3,適切な難易度のものに取り組む
この3つを意識していれば、仕事も遊びも集中して取り組むことが出来るようになり、より充実したものになるでしょう。
人はどんなことでも楽しむことが出来ます。
仕事は楽しくない、遊びは楽しいというような固定観念を捨て
それ自体が目的である自己目的的活動になるまで工夫してみてください。
フロー体験に関して、もっと詳しく知りたい方は下記の本
またはM.チクセントミハイの著書が参考になります。
おしまい
- 作者: M.チクセントミハイ,大森弘
- 出版社/メーカー: 世界思想社
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