【まとめ】お金の流れでわかる世界の歴史~古代エジプト~
今回は『お金の流れでわかる世界の歴史』古代エジプト編のまとめです。
古代エジプトは、3000年もの間、繁栄を続けていました。
その理由としては、「砂漠に囲まれていたから攻め入ることが出来なかった」「ナイル川の肥沃な土地の恩恵によるものだ」等と言われていますが、古代エジプト以降のエジプトは、平穏な時代を築けませんでした。
では、なぜ古代エジプトだけが繁栄を続けることが出来たのでしょうか?
古代エジプトが繁栄した理由は「徴税システムの整備」にありました。
一般的に、国家を維持していくためには「徴税システムの整備」と「国民生活の安定」が不可欠です。
古代エジプトは中央集権的な国家制度をとっていました。
そのため、中央政府が国のすべての行政権、徴税権を持っています。その中で、徴税業務を担っていたのが「書記」と呼ばれる下級官僚です。
この徴税役人である書記を官僚としたことが、古代エジプトの繁栄に繋がっています。
この時代の徴税業務は、外部に委託する、請負制という手法が主流です。
しかし、請負制では、徴税人は税を多くとればとるだけ自分の収入になるため、不正に税を取り立てるケースが頻発していました。
徴税役人である書記を官僚とすることで、彼らには国家から定められた給料が支払われることになるため、不正に税を取り立てることが少なくなったのです。
また、徴税役人である書記を監視する機関もあったようで、不正な税の取り立てに対しては厳しい姿勢を見せていました。
さらに、エジプトを収めるファラオ(王)は書記に対して、「慈悲ある振る舞いをせよ」と命じていました。
具体的には「もし貧しい農民が税を収められなかったら3分の2は免除せよ」「もし税が払えなくて万策尽きてしまっているような者には、それ以上追及してはならない」という決まりがありました。
これによって農民は無理に税を取り立てられることがなく、安定した生活を送ることが出来ます。
このようにして、古代エジプトは「徴税システムの整備」と「国民生活の安定」を実現し、繁栄を続けました。
しかしながら、古代エジプトも後半期になると、徴税役人たちが王の目を盗んで過重な税をとるようになりました。
その結果、ファラオはそれを埋め合わせるために、更なる重税を課し、過剰な税負担に耐えられない者が現れます。
徴税システムが崩壊した結果、国民の安定した生活も終わりを告げました。
古代エジプトでは、神殿(アメン神殿)が強大な特権を持っていて、神殿に住む労働者は税金を払う必要がありませんでした。そのため、税を払えない人たちが皆、神殿に逃げ込みました。
その結果、アメン神殿は大きな力をつけ、エジプトの中で独立国家のような立場となります。古代エジプトの末期には、王家の課税基盤は2分の1にまで減っていたそうです。弱体化したエジプトは、マケドニアのアレクサンドロス3世に滅ぼされます(紀元前332年)。
【まとめのまとめ】
・古代エジプトでは、書記という官僚が徴税権を持っていたため、安定した徴税が出来た。
→国家の繁栄には安定した徴税システムが必要である。
・しかし、その書記も時の流れによって腐敗した。
→集団内で監視し合うシステムが無ければ、いずれ腐敗する。
ex.企業の監査役
・集団に不満が生まれると、対抗勢力もしくは敵にそのスキを突かれる。
ex.企業内で不満を持った人の独立、ライバル会社の躍進
→集団に不満が蔓延している際は、仲間をつくって裏切るチャンスかも?
おしまい
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